職業運転手の中でも「お抱え運転手」と呼ばれる職業がありますが、何を意味し、またどのような仕事内容なのでしょうか。
ここではお抱え運転手という言葉の定義から、お抱え運転手になる方法やそのために必要となるスキルや資格について解説します。
お抱え運転手とは
お抱え運転手という言葉は、職業運転手の中でも、特定の顧客・車両の専属者として車の運転を行う人のことを意味しています。
20世紀の初め頃に自動車が広く販売されるようになりましたが、当時は購入された自動車の台数と比べて運転できる人の数が少なく、多くの購入者が自分の代わりに運転してくれる人を必要としていました。そこで、自動車の運転手が一つの職業となったのです。
役員専用の車両を保有している官公庁、大企業のオーナー、芸能人や政治家をはじめとする富裕層などが直接運転手を雇用し、その運転手が専ら一人の顧客のために車両の運転を行うようになったのがお抱え運転手のはじまりです。
現代では運転免許を簡単に取得できることや、企業のコスト削減の傾向が強まり運転業務を外部委託するケースが増えたことなどがあり、専属の運転手を雇う例は減少傾向にあるものの、それでもお抱え運転手を雇っている人・雇いたい人は少なからずおり、まだまだ需要が尽きることのない職業となっています。
お抱え運転手の仕事内容
お抱え運転手の仕事内容は、特定の顧客を対象としているのか、または特定の車両を対象としているのかで異なってきます。
特定の顧客を対象とする場合には、例えばある会社の一人の役員を顧客とし、毎日の通勤で運転をしたり、また出張等の際には空港への送迎を行ったりするお仕事があります。
取引先との会合やゴルフなど、業務にまつわる移動に関しても全てお抱え運転手が送迎を行うケースも多々あります。
場合によっては顧客が温泉・スキーなどのレジャーに行く際、冠婚葬祭などの行事に参加する際などでも運転を行うことがあるのです。このように、顧客の仕事から日常生活までサポートすることになりうるというわけです。
一方で特定の車両の専属者となる場合には、スクールバスやロケバス、スポーツスクールの送迎バスなど、一企業が業務に使用するために所有している車両の運転を行うことになります。
加えて商用車に分類されるような、イベント用の車両や宣伝車両の運転についても、お抱え運転手の仕事として分類されます。
お抱え運転手になるには
お抱え運転手になる方法はさまざまありますが、大きく分けて3つあります。
求人への応募
一つ目は、お抱え運転手の求人を探して応募するという一般的な方法です。転職サイトを調べれば件数は少ないながらも載っていることもありますし、情報誌に掲載されていることもあります。自分に合った求人が見つかれば応募してみて、面接を受けるという形になります。
紹介
二つ目は、知り合いに紹介してもらうという方法です。企業の役員や芸能人などの人脈を持っている知り合いがいる場合には、お抱え運転手を雇いたいという話が舞い込んでくることがあります。
可能性としては低いかもしれませんが、お抱え運転手を雇う側としては確実に信頼できる人に来てほしいという思いがあるため、ひとたび紹介されれば、求人応募に比べて採用される確率が高くなります。
人事異動
三つ目は、まずどこかの会社で一般的な運転業務を行い、そこから人事異動によりお抱え運転手になるという方法です。様々な送迎業務を務める中で信頼を獲得できれば、是非お抱え運転手になってほしいという依頼が来ることがあります。
必要な資格やスキルはあるのか
お抱え運転手になるにあたり、必須となる資格は普通自動車免許のみになります。それ以上に、運転経験を数多く積んでいることが求められますし、長期にわたり無事故・無違反が継続しているのは当たり前の条件です。
急にこれまで送迎したことのない場所に向かうよう頼まれても、即座に準備して運転する必要があります。場合によっては高いスキルが要求される山道の運転などもあるかもしれません。無理な要望にも難なく応えられるような体制が整っていることが大変重要なのです。
また、お抱え運転手は高い対人スキルも求められてきます。運転中をはじめとして、顧客とさまざまな話をする場合が多く、顧客のプライベートな内容についても耳にすることがしばしばあります。
どのような話題であっても平静を保ちながら対応し、絶対に聞いた内容を外部に漏らさないことは当然のマナーです。そして、顧客の機嫌が良くない時には特に、怒らせてしまうことがないよう良好な人間関係を維持するための立ち振る舞いが求められます。
まとめ
お抱え運転手は富裕層の利用するサービスという印象をお持ちの方も多いですが、昨今では多くの企業が取り入れています。
企業のお抱え運転手を「専属運転手」や「役員運転手」と呼ぶことが多いですが、乗車される重役の方々が安心して任せられる人間性と運転技術が必要です。また、企業にとって重要な人物を送り届ける仕事となるため、細心の注意と徹底した守秘義務が求められます。
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