企業の役員クラスの専属として働く運転手を「役員運転手」と呼びます。大企業を中心に、役員運転手には活躍の場が与えられてきました。
役員運転手は運転技術だけでなく、高い職業意識を求められます。また、一般社員以上にビジネスマナーを心がけなければならない場面も出てくるでしょう。
この記事では、役員運転手に必要な心得を4つに分けて解説していきます。
ビジネスマナー
社会人である以上、ビジネスマナーの心得が必要なのは当然です。役員運転手が相手をするのは企業の上層部であるため、特にビジネスマナーへの意識が求められるといえます。
何気ない世間話であっても、くだけた言葉遣いになってしまうのは適切ではありません。常に相手の気持ちを尊重しつつ、正しい敬語を心がけるようにしましょう。役員が運転手に心を開いてくれたとしても、主従関係を崩すべきではありません。なれなれしい言葉遣いは控えるのが得策です。
役員運転手のビジネスマナーは、社外の人間に対してもあてはまります。役員運転手は上層部の人間と行動を共にするため、目立つ場所に出向く機会も少なくありません。
そういった状況で失礼な態度をとってしまっては、会社の評判を落としてしまいます。社外の人間にもしっかり挨拶をしたり、お辞儀を忘れずにしたり、礼節をわきまえましょう。
「自分は人に見られている」という意識を持っておけば、自然に礼儀正しい振る舞いができるようになります。
接客能力と心配り
役員運転手にとっては、毎日が接客の連続です。長く一緒にいると役員に親しみを覚えてしまうことも少なくありません。しかし、「相手はお客様である」と心得て、一線を引くことも大切です。
荷物を積極的に持つ、雨の日には乗降時に傘をさすといった、細かい接客能力が問われます。しかも、役員によってはこうした行動を「されて当然」と考えています。
少しでも気がつかない部分があっただけで役員を不愉快にさせる可能性があるため、常に気を引き締めておきましょう。
また、マニュアル以上の心配りも大切です。たとえば、運転手は役員のスケジュールをしっかり把握しておかなくてはなりません。そうすれば、役員が口に出さなくても時間的な余裕の有無を想像できます。
「時間がないので少し急ごう」「あえてゆっくり走って休ませてあげよう」といった心配りが、役員のサポートへとつながります。
こうした心配りを日ごろからできるようになると、信頼関係が構築されていくでしょう。そして、「この人にずっと運転してほしい」と願われる存在に変わるのです。”
運転技能と地理把握
いうまでもなく、安全かつスムーズに車を走らせる基本的なスキルは運転手に必要です。ただ、役員運転手の場合はそれらに「快適性」という心得が加わってきます。
役員は車内で日常的にメールチェックや電話をしなくてはなりません。ときには、ビデオ会議のように重要な職務を車内でこなすこともあるでしょう。
そのようなとき、運転技能が荒々しいと役員は仕事に集中できなくなります。揺れやスピードを感じさせないほどの、安心感のある運転が求められるのです。
また、役員運転手には地理把握も大事です。役員は分刻みのスケジュールで動いていることも珍しくありません。少し道を間違えただけで、遅刻になってしまうケースもありえます。役員の行動圏については、完璧にルートを押さえておくことが大前提です。
そのうえで、遠方に出向くときにも高速道路や渋滞しにくい経路を選べるようにしておきましょう。役員運転手として働くなら、初めての道についても事前に深くリサーチしておく気遣いが肝心です。
守秘義務の徹底
役員運転手を務めていると、重要な情報を知ってしまうことも出てきます。役員の電話や同乗者との会話から、経営に関わる事実を聞いてしまうケースも少なくないでしょう。
役員運転手には、それらの情報を黙っておく守秘義務があります。役員から特に止められなかったとしても、単に運転手の存在を意識していなかっただけだといえます。自己判断で秘密の重大性を理解し、守り抜くのも運転手に求められる心得です。
ときには、役員のほうから運転手に秘密をもらすこともあるでしょう。役員も人間なので、悩みや不安を他者に吐き出したい場面は出てきます。
しかし、役員がそうした行動に出るのは運転手に信頼を寄せているからです。そうだとすれば、運転手もまた信頼に応えなくてはなりません。
また、運転手は役員をプライベートな場や病院などに連れていくこともあります。こうした情報を他人に告げてしまうと、役員の立場を悪くしかねません。運転手が見聞きしたことは、すべて胸の内にしまっておくだけの分別が大切です。
まとめ
役員運転手は本人が意識しなくても、会社の秘密に触れてしまう仕事です。また、運転手のミスによって大切な仕事に役員を遅刻させてしまったり、取引先を不快にさせたりすることもありえます。
当社では運転技能とビジネスマナーを心得たうえで、役員の気持ちを優先して動くことを徹底的に教育しています。
また、役員様にとって車内は重要な会議室でもあります。そのため、当社のドライバーは、すべて入社時に誓約書への署名を行い、個人情報保護に関する社員教育を実施するなど守秘義務を徹底しています。
刻々と変わる道路状況にも対応できるように地理を徹底して学ばせているため、お客さまにご負担をかけることなく、迅速かつ快適な運行により目的地までお連れいたします。